2012年10月10日水曜日

"Il Bambino invisibile" (消えた子供)

マヌエル・アントニオ・ブラゴンツィ "Il Bambino invisibile" (消えた子供)の著者。 チリのサンタ・エレーナ村で生まれたマヌエルは、5才のとき、祖父が母を殺すのを見て家出をし、森林に逃げた。8才までの3年間、小さな子供はたった一人で森林で暮らし、森が彼の母代わりをしてくれた。草木、動物たち、星空…。高い木によじ登り、じっとしていて近づいて来る小鳥を捕まえ、川では魚も手ですくって捕った。夜になると寝るのは木の下。しかし8才のとき重い病気になり、保護され、孤児院につれて行かれた。そこへ訪ねてきたイタリア人のブラゴンツィさん夫婦が養子として彼を迎え入れ、イタリアに連れて行った。やっと愛に出会ったマヌエルはひと時も両親からはなれず、車の中でも母の首に抱きついていた。ひとつ他の子とちがったのは、ちょっと外に出て行ったと思ったら「ほら捕まえたよ。あとで食べようね」と言って、捕って来たばかりの小鳥を差し出したりしたことだった。マヌエルはいまは30代で3人の子の父となっている。妻は「他の人と変わらないけれど、ひとの苦しみを理解できるやさしさが特徴」と言う。