2020年3月12日木曜日


ディ・マイオ 外務大臣のTVインタビュー
2020310


ジャーナリスト(J)
最初から Protezione Civile(イタリア市民保護局)の会議に出席してコロナウィルス対策に積極的に関わっておられることを知っていますが、このかつてない状況の中、どのように日々を過ごしていらっしゃいますか。

ディ・マイオ 外務大臣(DM
さらなる努力を重ねたいです。毎晩「今日の自分の努力は十分ではなかったのではないか」と思いながら床に就きます。私の心に常にのしかかっているのは、イタリアの医者、看護師、ソーシャルワーカーの方々のことです。陽性患者が増えれば、人工呼吸器に繋がれる患者数も増えることになります。政府が「皆さん家にいてください」とお願いしている規則は、市民の方々自身とその健康を守るためのものです。医療関係者たちは24時間体制で働いておられます。疲労困憊してマスクも取らずにコンピュータに寄りかかって寝てしまった看護師の女性の姿が報道され、皆がそれを見ています。そのことを思えば私たち皆は、買い物や仕事に行くような必要不可欠なことのため以外は、「家から出ない」という犠牲も払えると思います。

私たちの祖父の時代は国から「戦争に行くように」という命令が出されました。今の私たちはただ単に「なるべく家にいてください」とお願いされるだけです。それはまずは愛する人々を、そして魂を注いで働いている医療関係者の方々をも守ることになります。若者が仲間と一緒にアペリティフを飲みに行き、広場などでたぐろしている姿が見られますが、私はモラリストをしたくはありませんが、そのようなことをするのは(通常の状況なら私だって好きですが)、どうか理解してください。まず考慮して欲しいのは、そうすることが感染を広めることに繋がり、それによって病院の負担が増すことになります。第2には、ウィルスを家に持ち帰り、両親や祖父母のいのちを危険に曝すことになります。ですから、全員一緒に闘わなければなりません。皆で一緒に、この戦いに勝利しましょう。

J:
ローマの街の今の景色をご覧ください。
(人通りが非常に少ない光景)
これは43日まで続くことになっていますが、政府の決断の説明をお願いします。

DM
とてもシンプルです。わたしたちが目にしているのは高速で広がって行くウィルスです。なぜなら私たちの体内には抗体がないからです。そのためこのウィルスは人から人へすごく簡単にうつります。もしウィルスがゆっくり「旅して」くれれば、つまり人と人の接触を減らせば、入院患者の10%を占める集中治療を必要とする方の人数も減ります。この悪夢から脱出しなければなりません。

今朝、中国の外務大臣とお話しました。彼らが最も困難の中にあった時、イタリアが援助したことを覚えていてくれました。中国では現在感染者カーブが下がっていて、状況が改善されています。緊急事態用に建設した病院を閉めているほどです。
もうすぐ中国はマスクや呼吸器などの医療品と、とりわけコロナウィルス体験をもつ専門医たちを乗せた輸送機を送ってくれることになっています。
もうすぐ最初の呼吸器1000台が届くことになっています。

J
昨夕発令された「首相令」にのっとって、どのような行動をしたらよいか教えてください。

DM
市民の皆さんには犠牲がともないますが、全員一緒に実行すればするほど、期間は短縮されます。まず第一に守らなければならないのは、「家にいること」です。
いつ外出できるでしょうか。仕事に行くのは許可されています。国境を越えてもOKです。毎朝国境を越えて働きに行っている方々がいます。それは許可されていますが、仕事を終えたら、アペリティフを飲みに行くことも、娯楽のために寄り道することも駄目です。
もう一つ(外出が許可されるの)は、健康面での緊急事態です。治療のために医療施設に行ってください。その他緊急性があることで外出するのはOKです。
でも、スーパーの前で列を作るのは意味がありません。商品は問題なく配送されますので。スーパーは継続的に、中断することなく、補給されます。
昨日店の前で列が作られているのを見ましたが、これは違反です。統計的な観点から見ると、その中でウィルスの感染がある可能性があります。ウィルスを子供や年寄りがいる家に持ち帰ることになります。

以前「責任」といことばが軽んじられていたことがありますが、現在、私たちの大きな義務は、なるべく家にいることです。そうすることにより、短期間でこの状態から出ることが期待されます。

J
家計を助けるために政府はどのようなことを提案していますか。

DM
多くの方々から手紙(メール)を頂きました。(子供が家にいることで仕事に行けず困っている方には)ベビーシッターを雇うバウチャーを配給します。社会保障分担金、税金、貸付金などの支払義務を中止します。大企業社員向けだったCassa Integrazione (労働者休業手当)を中小企業にも支給します。近いうちに省令を出し、困難な状況にある方々を支援します。

「家にいる」ことで顧客や仕事を失うことになることは、十分理解しています。ですから、この犠牲を払うことにより、速やかにトンネルから出られるようにしたいと思っています。

「ウイルスとの闘いの首都」ミラノからのルポルタージュ:
街はゴーストタウンのよう。
今日も18歳の若者が発症し、ICUに入院した。

DM
昨日厳しい規則を策定し、18時以降は商業活動の殆どを中止し、人々が集まることも禁止しました。イタリアはもっとも厳しい規則を実行に移しています。ヨーロッパだけでなく、世界の殆どの国が実行していない規則です。でもこれは科学者たちが我々に指示したことです。医療タスクフォースのメンバーは大学教授など専門家たちです。彼らが私たちにどのように厳しさを策定すればよいか助言してくれます。彼らがわたしたち(政府)に助言することができるのは、彼らが状況を科学的にモニターしているからです。

「要請」時点では効力が発揮できなかったので、「規則」に変えました。先ほどミラノで18歳の男の子が人工呼吸器に繋がれたというニュースがありましたが、この病気は肺にダメージを与えるので、人工呼吸器の助けが必要となります。これは若い人でも高齢者でも同じです。

握手するたびに感染の危険があります。握手する前に10数えてください。

J
欧州地域に感染が広まっています。

DM
わたしたちの医師や看護師たちが実際に体験し、学んでいることは、「知識資産」となって蓄積されていますので、大学での研究成果を含め、それらを(これから危機状態になるかも知れない)欧州の方々とも分かち合いたいと思っています。但し、イタリアが被った今回の酷い感染は、どこの国にも体験してほしくありません。

今回70億ユーロを医療支援に充てましたが、必要に応じてさらなる支援額も決議するつもりでいます。

わが党(五つ星党)の議員は、議員手当の全額(300万ユーロ)を呼吸機器購入のために提供しています。

イタリアを現在支援して下さっている国々を、将来のために(将来お返しが出来るように)記憶に残しておきたいと思います。

コンテ首相の記者発表(2020 03 11)の要訳

コンテ首相の記者発表(2020 03 11)の要訳



Palazzo Chigi, 11 marzo 2020 - Dichiarazioni alla stampa del Presidente del Consiglio, Giuseppe Conte, con il Ministro dell'Economia e delle Finanze Gualtieri e il Ministro del Lavoro e delle Politiche sociali Catalfo.
http://www.governo.it/it/articolo/con...
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コンテ首相
内閣は25 miliardi (250億ユーロ)の予算を只今決議しました。
すぐに使うためではなく、今回の緊急事態において想定できる様々な局面において利用するためです。(医療面、経済面、社会にインパクトのある政策、など)

EUレベルでの友好的な姿勢を示していただいたことに満足しています。昨日ヴィデオ・コンフェレンス形式でEU理事会が催されました。
ミシェル理事会議長と、またEUメンバー各国のリーダーたちと話しました。
イタリアの現在の状況に理解を示してくれました。この状況はヨーロッパ大陸全体に及ぶことになるであろうと皆さんが把握しています。
ウィルスの感染拡大を阻止するため、密なコミュニケーションを続けることになっています。
科学者・医療関係者間のEUレベルでのタスクフォースの構築が期待されます。この未知のウィルスト闘うための研究部門です。
利用できる流動資産も増大すべきです。
EUが持つリソース(可能性、資産)を最大限に活動させなければなりません。
今日の午後にフォン・デア・ライエンEU委員長とヴィデオ・コンフェレンスをすることになっています。イタリアに来ようとしておられましたが(そのことについては彼女に感謝します)私自身、現在すべての対策を迅速に進めなければならない状況下にあるため、来伊せずにヴィデオで繋がっているようお願いしました。
私たちのスタッフ、閣僚の皆さんの熱心な努力に感謝します。

それではグアルティエーリ経済大臣と カタルフォ労働・社会政策大臣にマイクを渡します。

以下、グアルティエーリ経済大臣
新しく組まれる予算は医療システム支援と国家市民保護局用に利用できます。
たいへんな努力をされている医療従事者の方々に感謝します。
再度申し上げますが、コロナウィルスのために失業される方は一人もいないでしょう。
企業の流動資産を支援します。
納税期限についても配慮します(必要によって遅らせます)。
これはあくまでも「初めの段階」での介入です。
EUの共同資産も利用できることになるかと思います。
公的財政(国家財政?)は堅固なものですので、その点はご安心ください。

以下、カタルフォ労働・社会政策大臣
コロナウィルス感染拡大を予想して、労働・社会政策省としては、イタリアのすべての企業、家庭、労働者を守るための政策をとります。
企業(5〜10人の従業員の会社も含む)のために、Fondo di integrazione salariale 賃金補填引当金を利用します。部門は関係なく、イタリア国内の、すべての労働者に行き渡るようにします。
家庭に待機しなければならなくなった労働者を支援し、または、ベビーシッターを雇うためのバウチャーを支給します。

記者の質問
グアルティエーリ経済大臣の返事
Up To(〜まで、期日指定)」という名前の政策で、その250億ユーロの予算のうちの実際の消費額によって国の赤字のパーセンテージ(3%に達するかどうか)が決まります。
政令によるとこの約半分が利用されることになるでしょう。EU資産の利用によって一部負担額が削減されるでしょう。
国会が250億ユーロの支出を許可しても、実際に使われる額は未定です。

コンテ首相の返事
州からの要請があれば、より厳しい政策がロンバルディア地方などに課されるかどうかとの質問ですが、昨日もそうですが、今日の午後も、Protezione Civile (国家市民保護局)と州知事とのヴィデオ・コンフェレンスがあります。
スペランツァ保健大臣に指示をし、フォンターナ知事(ロンバルディア州)にそのような要請を正式に、もちろん正確な理由を添えて、上げてくださるよう頼みました。
各州知事こそが、地域の状況を把握している方ですので。
政府としては、より厳しい政策を発動させるか否かについては、反対の立場をとってはいません。一昨日「DPCM(首相令M)」を発令しました。それによって厳しい制限をイタリア全国に拡大しました。
各州からの要請を考慮する体制をとっています。

これから申し上げることは州知事の皆さんに向けたものではなく、公的な場面で議論を交わしている方々にお願いがあります。大きな注意を払い、責任を持って発言してください。私たちには市民の皆さんの健康を守るという最優先事項があります。しかしその他にも守らなければならない局面があります。例えば、私たちが市民の皆さんの移動の権利を制限する場合、憲法の価値である市民の権利、社会的権利、企業の自由、というものに触れます。
私たちは常に慎重に歩を進めて行かなければなりません。

より厳しい政策またはより緩やかな政策を求めるか、など、世論調査というものがありますが、大切なのは感情的にならないことです。現在国の政府が州の政府と調整した上で判断しています。設立されたComitato Tecnico-Scientifico(科学委員会)がわたしたちを導かなければなりません。委員会の意見をリスペクトしつつ政治的判断もしなければなりません。例えば、想定された施策が良い結果を保証するものではないと提言される場合もあるかもしれません。再三申し上げているように、「国民の皆さんの健康を守る」という最優先事項があります。一方憲法で守られている権利も考慮しなければなりません。世間の公的な場所での議論が熱を帯びて、もっと、もっと、厳しい政策を取るべきだという風になってきた場合、ある日目を覚ましたら市民の権利がないがしろにされる社会になっていた、というわけには行きません。「国民の皆さんの健康を守る」ということが最優先事項であることは確かですが、その他のこと(憲法で保証されている権利)が消滅してしまったということには絶対なってはいけないと思います。さもないと私たち皆が「亡命状態」になってしまうでしょう。