フクシマでの「被爆による重い健康被害の発覚」にともない、イタリアでも自国周辺にある27基の原発について不安がつのっている。イタリアから最も近いところにあるのは、トリエステから西に130キロ、クルシュコ(スロベニア)のリンゴ園の真ん中に1981年に建設された原子力発電所。この施設の所長によれば、「将来また故障が起きないという保証はだれもできない。しかし、健康被害はこれからも起きないだろう。過去には30件くらいの故障があったが、放射能が外部に漏れるようなことはなかった」「技術革新や安全のために、当社は年間3,000万ユーロを費やしている」。
一方、グリーンピースの意見は:
「クルシュコに近いザグレブ(Zagrab)から30キロの場所に2基目の建設が予定されていたが、幸いなことにこの計画は中止された。ザグレブの町はあやうく両側を原発に挟まれるところだった。最近の故障についても原因は解明されていない。核廃棄物の恒久的な保管場所はなく、敷地内に保管しており、2011年末には満杯になる。2023年には寿命により廃炉になる予定で、それがクリーンで安全な再生可能エネルギーに転換する契機となるだろう。数十億ユーロもする原発を造らないで、その資金を他のエネルギー源の開発に向け、より賢いエネルギーの使い方をまなぶべきだ」。
27基のなかで一番古いのは1969年に完成したスイスのベズナウ発電所。MOX燃料棒事故を起している。スイス政府は2034年までに全5基を廃炉にすると決定。ロイトハルト環境エネルギー相:「フクシマが今後数十年のスイスのエネルギー政策を変えた」。これからは、500ヶ所以上ある水力発電所の改修・強化、太陽光・風力など再生可能エネルギーの導入により、原発分(39%)を補う。
一方ドイツは、2022年に「ゼロ原発国家」となる道を歩み始めた。
日本も、政府が原発を再稼動させなければ、2012年(来年)にはドイツに先駆けて「原発ゼロ」先進国になることができる。
岸内閣の時代に原発事故の被害想定額を試算したところ、「国家予算の2倍」という結論に達した。政府はそれを国民に知らせず数十年間隠しつづけた。今2011年、やっとそれを国(政権交代後2年)が公表した。数十万人が被曝するという大きな悲劇、現在進行中の悲劇のなかで。