2012年2月14日火曜日

アスベスト汚染裁判

「歴史に残る判決」

アスベスト汚染による被害者と遺族が、加害者であるEternit社の幹部を告訴した裁判(トリノ法廷)で、被告2名にそれぞれ懲役16年の刑が言い渡された。裁判官は、亡くなった3000人の名前も一人ひとり読み上げた。

Eternit社のカサル・モンフェッラート工場で働いていた従業員3000人が、アスベスト健康被害で死亡した。その真実が司法によって認められるようにとずっと戦い続けてきたアスベスト被害者遺族会の象徴的な人物、家族5人を失ったロマーナ・ブラゾッティさんは「戦いはまだ終わってはいません。若い人たちがこの戦いを引き継いでくれることに大きな希望を感じます」と語った。判決後ラッファエーレ・グァルニエッロ検事はコメントした。「歴史に残る判決です。判決文が読み上げられていた間、わたしは夢を見ているように感じました。真実はいつか必ず認められると、今後多くの人が信じられるようになると思うと、感無量です」。支援者がかざすプラカードには「Lavorare senza morire 死なないで働けるように!」と記されていた。

1992年以前に生産された1200万トンのアスベスト汚染物がイタリア全土に残されている。CNR(イタリア学術会議)は汚染マップを作成。地上1500メートルの高さに探知用飛行機を飛ばし、大気中のアスベスト量を測定している。現在イタリア中で毎年2000人がアスベストによる様々な疾患で死亡しているが、その数がピークを迎えるのは2017年。アスベストは廃棄できないので、解決策が見つかるまで、樹脂で覆われてそれぞれの場所におかれる。
賠償額は8千万ユーロ、告訴者(原告)は6千人。