1976年1月、シチリア島の海辺の町アルカモ・マリーナで2人の若いカラビニエーリ(軍警察)が就寝中に殺害された。犯人の一人として逮捕され、9回にもわたる裁判の末に終身刑を言い渡されたジュゼッペ・グロッタさんは21年間の服役後、今回レッジョ・カラブリア控訴院で無罪となって釈放された。無罪を主張したのは検事総長。判決文が読み上げられるとグロッタさんは当時2才で今は24才になっている息子を抱きしめて泣き崩れた。
「まるで時計が36年前に戻るかのようです。逮捕されたのは事件の約1ヶ月後の1976年2月12日でした。どうして逮捕されることになったのか分かりません。当局はどうしても犯人が欲しかったのです。わたしを逮捕して犯人を捕まえたつもりだったかもしれませんが、正義(giustizia)は行われませんでした」。バルダッサッレ・ラウリア弁護士は「グロッタさんは権力闘争の犠牲者になったのです。彼の人生がめちゃくちゃになった事実はだれも変えることはできませんが、今日の判決は正義を実現しました」。同じ事件で有罪判決を受けブラジルに逃走中の2人についても現在再審手続きが進められている。他の2名はすでに死亡しているが、その内の1名は逮捕6ヶ月後に獄中で不可解な自殺を遂げ、未解決のまま。