2012年5月8日火曜日

芸術を通しての、再生の道 (ナポリ)

ヴェロニカ・モンタニーノ、23才。ナポリのオッタヴィアーノ地区で活動する俳優、バレエ・ダンサー。18才のとき、守衛の仕事をしていた父が強盗に殺害されたが、ヴェロニカは事件が起きたこの地区に留まることを決意する。「私は真相を知りたい。正義が行なわれることを渇望しています。ここに残って、犯罪の犠牲になった多くの人々の家族の一人でありたい」。「ナポリが大好きで、その潜在力に賭けています。ナポリの演劇が私の最大のパッション。ほかの場所には行きたくありません。正直でクリーンなナポリ人魂を誇りに思っています」。 オッタヴィアーノにはAccademia Vesuviana del Teatro ad Ottaviano (オタヴィアーノ・ヴェスヴィオ演劇アカデミー)という「明日を夢見る」学校がある。 「オッタヴィアーノ地区は、私から父を奪いましたが、私はここで人生の再生を目指す覚悟です。芸術に精進し、人々の希望につながる何かを残したい。父の死のあとは私も希望を失っていましたが、ここに残ることで、悲しい出来事への抵抗とそれを乗り越える変革の担い手になりたいです」。 ヴェロニカは近くのNisi(ニージ)少年院にも演劇を教えに行っている。そこには父を襲ったグループのメンバーがいるかもしれないことを知りつつ。「先日一人の少年が言いました。“演劇がこんなに人を感動させるものだとは知らなかったよ。強盗のときよりももっとドキドキする!”」