1970年代の「鉛の時代」に数多くのテロ行為に関与し、Brigate Rosse(赤い旅団)のリーダーだったジョヴァンニ・センツァーニが28年の服役を終えて刑務所を出た。
1981年、ロベルト・ペーチがBrigate Rosseに誘拐され53日後に殺害されたのは娘のロベルタがまだ母の胎内にいるときだった。ロベルタは出所したセンツァーニになぜ父の殺害に至ったのか会って分からせて欲しいという内容のオープン・レターを送った。ロベルト・ペーチは、Brigate Rosseの仲間を告発し逮捕させた「ペンティート(後悔者)」だった弟パトリツィオ・ペーチの代わりに殺されたというのが当時も今も一般的見方だ。同じくテロによって3歳のときに父ヴァルテルを失い、今は父と同じジャーナリストとして活躍するベネデッタ・トバージは、今回のロベルタ・ペーチの発言に、「イタリアの未来に希望がみえた」と述べている。
イタリアを震撼させた元首相アルド・モーロ暗殺事件は1978年のこと。国家の中枢、秘密警察、CIAの関与があったとされているが、すべてが明らかにならないまま今日に至っている。夫の国葬に参列することを拒絶し、先日95歳で亡くなったアニェーゼ・モーロ夫人は、「テロリストは私たちの背後にいるのではない。私たちの傍らにいる」と述べていた。
マフィアと大物政治家(アンドレオッティ、ベルルスコーニ)の関係が囁かれているイタリアだが、「司法上の真実と歴史的真実は同一ではない」というのが一般市民の醒めた見解だ。しかし権力/暴力の刃に倒れた父をもつ若者たちの報復欲に汚されない真実を求める喘ぎは本物だ。
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